第71期王将戦七番勝負第1局41手目▲8六歩の意味・狙い
渡辺明王将・名人三冠に、藤井聡太竜王・四冠が挑戦する第71期(2021年度)ALSOK杯王将戦七番勝負第1局。1日目の2022年1月9日の昼食休憩直前に指された41手目・藤井竜王の▲8六歩。
森内九段も驚き
現地大盤解説の森内俊之九段に「最初は何が起きたのか分からないくらい衝撃を受けた」と言わしめたこの一手。
第71期 #王将戦 第1局。藤井竜王が指した「8六歩」に控室で驚きの声が上がりました。森内九段は「何が起きたのかわからないくらい衝撃的な手」と話しています。
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— 毎日新聞 (@mainichi) January 9, 2022
AI的には「普通の手」
最強クラスの将棋ソフト・水匠5に10億手読み込ませたところ、この▲8六歩は3番手の手。
同じく最強クラスの将棋ソフト・dlshogiに1,000万手読み込ませたところ、▲8六歩は5番手だった。序盤の手としては「常識的な手」と同様と言える。
動画で見る⇒[Youtube] ▲8六歩 AI何番手の候補手? 2日目展開予想
意味・狙い
▲8六歩の直後は「何だろうな? ▲8八銀から▲8七銀とできれば銀冠になるけど、▲8八銀の瞬間に△8六飛車と歩をタダで取られると、そこで何も手段がない…」等々…
▲5六角のお膳立て?
直後に▲6六歩が指されてみると、次に5六に角を据えた形が、前に指した▲4六銀との関係でも収まりがよく、しっくりくることが分かってきた。
この▲5六角は、右側(3四、2三)と左側(7四)の二方向の攻めに利く。▲8六歩と突いたことで、当面の△8五桂を消し、▲7五歩 △同歩 ▲7四歩の狙いを含みにすることができる。
封じ手は▲5六角か?
そんなわけで、封じ手は▲5六角ではないかとの予想があったわけですが…
封じ手、開けてみれば▲3五歩。
もっとも、これで▲5六角がなくなったわけではなく、ここまできて▲8六歩が「人間感覚的にも腑に落ちる手」と考えることができるのは、潜在的に▲5六角があるからなのは間違いない。
追記:このあとすぐに▲5六角が指された。
動画で見る⇒[Youtube] ▲8六歩 AI何番手の候補手? 2日目展開予想
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