王将戦七番勝負1勝目後・羽生九段「ホッとした」の意味を深読みしてみた…
藤井王将に羽生九段が挑戦した「世紀の対決」第72期王将戦七番勝負が2023年3月12日に終わってから9日後の3月21日。
羽生善治九段の奥さんで元女優の羽生理恵さん(旧畠田理恵さん)が、胸を打つようなSNS投稿をして注目を集めた。
「ストレート負け」予想
王将戦は4-0でストレート負けだろうという言葉。
これは本人が認識するほど様々な場面で近く遠く、聞こえていたよう。
ホッとした。なんて、こんな風に率直に表すのは初めて見た気がします。— 羽生理恵🐰うさぎファース党 (@yuzutapioka) March 21, 2023
第2局、先手番の羽生九段が勝って、七番勝負1勝1敗のタイに持ち込んだ直後。
羽生九段の「ホッとした」という感想が大きく報じられた。
何に対して「ホッとした」のか?
0-4のストレート負けがなくなったことで、そういう「予想屋」の口を閉ざすことに成功して「ホッとした」ということなのだろう。
羽生九段を最も近くで見ている人が言うのだから間違いない。
「そりゃそうだ。それ以外に何かあんの?」
って人もいるかもしれないが、もっとポジティブな「ホッとした」も考えられたところだった。
「先手藤井」対策
この七番勝負、「藤井先手」に対して「後手羽生」がどんな対策を立てるか? にも注目が集まった。
2022年6月3日の第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局に永瀬王座に敗れて以降、先手番では全く負けない藤井王将(2023年3月5日の第48期棋王戦五番勝負第3局で渡辺棋王に先手番で敗れる)。
「先手必勝」の藤井王将に対して、後手番の羽生九段は何をすべきか?
「伝家の宝刀」横歩取り
そこで誰もが思い浮かべるのが、羽生九段の横歩取り(後手番なので「横歩取らせ」と言うべきか)。
王将リーグでも2局採用し、2局ともキレのある指し回しで快勝しているが、元より、七冠達成局で採用したのも「後手番横歩取り(横歩取らせ)」。羽生九段との相性は抜群で、縁起のいい戦型ともいえる。
第1局から羽生九段が横歩取りを採用するのではとの予想も多かったところ、そこは勝負のかけ引きか、横歩取りは温存されることとなった。
そうであればあるほど、横歩取りを「ここ一番」で採用する可能性を感じさせることにもなったわけだが、この伝家の宝刀は、番勝負が煮詰まった第5局、つまり、羽生九段にとっての後手番3局目に抜かれることになった。
羽生九段の七番勝負プラン?
「0-4負けを避けるのが目標の七番勝負」ではなく、「自分のすべてを出し切る七番勝負」ということなら、横歩取りを出さないままには終わらせられない。
「横歩取りカード」をベストのタイミング・第5局で切るためには、それまでにどこかで1度は勝たなければならない。その「1度」の勝利を第2局で挙げた瞬間、「横歩取りプラン」は現実のものになった。
羽生九段の「ホッとした」は、七番勝負をプラン通りに進めることが確定したゆえの安堵だったのだ…
…と第5局の横歩取り採用を見て思ったものだった。
どうやら現実はそういうものではないようだが、一方で、そういう意味も含まれていたのでは? との思いを拭い去ることができない…
「0-4を避けられたのでホッとした」
だったのですね。
「後手番で3局指せる(1,3,5)のが確定したので、第5局に横歩取りを採用するプランが実現してホッとした」
だったのかなと、第5局を見て深読みしてしまった。
その第5局、△5七銀を見送らなければ七番勝負どうなっていたか…#王将戦第五局— ぶたくん (@buhibuhi_seijin) March 21, 2023
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