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2024/2/26 棋譜利用動画裁判 東京地裁判決 概要

2024年3月9日

2024年2月26日、東京地裁で、弊ブログと連携しているYoutubeチャンネルについての裁判の判決がありました。

以下、判決内容を簡単にまとめます。

結論

著作権侵害でないのに著作権申立てがなされた点、当方のYoutube動画はフリーライド(ただ乗り)ではない点は被告も認めているところ、損害賠償額は、経済的損害と弁護士費用合わせて18,000円ほど。

精神的損害(慰謝料)は0円

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※大阪地裁判決の慰謝料は、20万円(精神的徒労)。

※編み物Youtuber訴訟の慰謝料は、20万円(10万×2動画)。

大阪地裁判決との比較

棋譜の著作権

いずれも、棋譜の著作権(著作物性)は争点にならず。

その他著作権侵害

いずれも、動画の著作権侵害は争点にならず。

※Youtubeに投稿した動画は、被告の著作権を侵害していない。にもかかわらず著作権申立てを受けて削除された。

著作権以外

大阪地裁の場合

いわゆる「盤面あり評価値放送」。

被告の主張:原告Youtuber の動画配信は「フリーライド(ただ乗り)」。原告に非がある。ゆえに損害賠償請求の主張は根拠を欠く。

東京地裁の場合

1日目終了時点の局面のみを使用した「封じ手&2日目展開予想」動画4本。対局終了翌日午後に投稿したAI解析動画1本。

被告の主張:原告Youtuber の投稿動画は、(フリーライドではなく)原告の知見によって作成された動画で、他の棋譜利用Youtube動画とは異質なものであった。削除申請は不適切だったと考えている。著作権申立てをしたのは、著作権侵害の可能性があると思った(※)からで、結果的に著作権侵害がなかったに過ぎない。悪質性はない。

※被告は、動画の内容を確認しないままに「著作権侵害の可能性がある」と判断して削除申請に及んだ。

※当初の主張は「フリーライド」云々だったが、裁判中、動画の内容を確認した後、主張を変えた。

経済的損失

大阪地裁の場合

削除された動画および投稿予定だった動画の逸失利益・約100万円(不正競争防止法)。

東京地裁の場合

削除された動画の逸失利益・約16,000円(不正競争防止法)。

慰謝料(精神的損害)を巡って

大阪地裁の場合

慰謝料20万円(精神的徒労 [不法行為])。

東京地裁の場合

慰謝料0円。慰謝料請求の法的根拠が不明(≒Youtubeに動画投稿する自由とそれが侵害されたとする法的根拠が不明確・原告の論証は失当)。

※ゆえに、(偽名による虚偽の著作権申立てであっても、それ自体)不法行為を構成しない。

※編み物Youtuber訴訟(大阪高裁 2022年10月)では、Youtubeに動画投稿する自由の法的利益が認められている [→不法行為]。損害額は、1本あたり10万円×2動画=20万円。

控訴する方向

かなりクセのある判決という印象。

この結論だと、例えば、立ち上げたばかりのYoutubeチャンネルは大抵、収益化されておらず、侵害者が他人の名を語って「(漠然と)著作権侵害の可能性があると思った」ことを理由にして動画を削除しまくったような場合、さらには、「このチャンネルむかついた」が理由で虚偽申告して削除しまくった場合でも、削除された側は法的にまったく保護されないことになる。

もっとも、論証に難ありとのことなので、「控訴審で出直して来い」との裁判所からのメッセ―ジとも受け取れる。